八尾市ものづくりnet.八尾の防災関連製品製造企業和弘プラスチック工業株式会社
2011年3月東日本大震災が発生した際に、「当社で何かできることはないか」と考え、すぐに社内で企画を立案。避難生活を送られている方に対し、長年携わっているポリエチレンを用いた「エアまくら」を開発し、4,000枚を被災地へ提供した。その後、被災者の方からお礼の手紙が1枚届いた。その一文の中に「毛布類など体にかけるものはあるが、敷き布団がなくて困っている」と、そこで企画開発されたのが「エアざぶとん」である。
エアざぶとんの特徴 本製品は、大阪府立大学との共同研究で開発した「逆止弁作用のある気道を形成した合成樹脂フィルム製の風船体」(特許第4885315号)であり、単一素材(ポリエチレン)での製造が可能となることから、以下のメリットを実現できた。
1、製造・原料コスト低減効果
・単一素材で製品化できたことから低価格を実現。災害時に備えた大量備蓄が可能となった。
2、安全性の高い製品
・製品はポリエチレン100%であることから、肌に優しくかぶれにくい製品を実現。
・ポリエチレンは、食品衛生法で包装材として認められており、安全が担保されている。
・燃焼してもダイオキシン類の発生がない。
3、リサイクルへの対応
・製造から出荷、回収、再資源化が実現できる。
また、製品サイズは被災地からの声を参考に規格化しており、3枚のエアざぶとんをホックで連結するとベッドになるほか、1枚を丸めて枕としての利用や2枚を連結させて子供のサイズにすることができ、様々な場面に応じて活用できるサイズとなっている。なお、ストローで膨らますだけの簡単な使用方法で、繰り返しの使用が可能となっている。サイズは1枚、横60㎝×長さ93㎝の大きさである。
同社は1955年の設立以来、60年以上の業歴を有するポリエチレンシートの製造会社である。取扱商品は、主力商品である 塗装用養生ポリエチレンシートのほか、マキシング用フィルム、一般産業用包装袋、食品用自動包装用フィルム等。年々海外生産 にシフトし、国産製品が衰退する業界において、付加価値のあるポリエチレン製品の開発に取組むことで、数千点におよぶ商品を 生んでいる。また、大阪府立大学と産学提携による新製品開発や環境整備など積極的に取り組んでいる。
「エアざぶとん」は、2016年4月に発生した熊本地震の際に利用されたことで反響を呼び、一般個人顧客や防災商社、各自治体の消防団などから問い合わせが殺到するなど、国内において防災グッズへの関心の高まりが伺える。こうした状況下で、更なる販路拡大の余地があると捉え、ホームセンターなどへの供給に注力している。
また、「エアざぶとん」から派生した製品である「ザブポン」を開発。「エアざぶとん」とは対照的に子供や女性が受け入れやすいように、かわいらしさを訴求し、運動会や旅行などのレジャー製品として販売している。現在では、大手総合スーパーで販売するなど着実に販売実績を積み重ねている。
地震が多い日本にとって、災害時に必要となる製品の企画・開発している同社は、今後もポリエチレンに付加価値を与えることに全力を注ぎ、新たな事業展開への挑戦を続けていく。