八尾市ものづくりnet.八尾の防災関連製品製造企業田中紙管株式会社
坂茂氏はかねて紙管を利用した建築や災害支援活動で知られる著名な建築家で、1995年に発生した阪神・淡路大震災でも紙管を利用して仮設住宅の建設を行った実績がある。
ちなみに紙管とは、段ボールなどの古紙を原料とした「紙のくだ」であり、主に紙や繊維、フィルム等を巻くための軸として使用されるものである。
震災後、同氏は被災地支援のためにボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(ボランタリー建築家機構)を立ち上げた。同機構の活動の中に、避難所用間仕切りシステムの提供がある。同システムには国内の紙管メーカーが登録しており、同社も約3年前にすでにサンプル提供を行っていた。そして2016年4月に発生した熊本地震では、協力企業を通じて熊本工場を擁する子会社の東洋田中紙管に支援要請が入った。
熊本地震では地震発生後、約1週間で約8,000本の紙管を提供した。体育館などの一般的な避難所では約100区画が設置されたことから、約2,000区画(世帯)のスペースを確保した計算になる。同社は工場からの出荷、トラックでの運搬といった部材供給を担い、設営などは前述したボランティア組織が行ったが、避難所でのプライバシー確保には欠かせないものとなっている。
三重県津市の自治会が同社の工場見学に訪れた際も間仕切りシステムに大いに関心を示したとされ、サンプル提供を行った。避難所用間仕切りシステムにおいては同社単独での活動ではなく、あくまでも協力企業を通じたものとなるが、今後も同様の方法による災害支援活動には前向きであり、要請があれば喜んで対応する意向である。