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八尾市ものづくりnet.の中の環境コンテンツ企業一覧の中の田中紙管株式会社

環境分野でがんばるものづくり企業

田中紙管株式会社/リサイクル可能な『グリーン紙管』の
製造技術の無償提供を同業他社にも積極的に進め、日本の紙管のグリーン化を目指します。/代表取締役 田中則男 http://www.tanakapt.co.jp

INTRODUCTION
 創業100年を迎える「田中紙管株式会社」(八尾市老原)は、その歴史に培われた「時代を見る目」と確かな「技術力」で紙管業界をリードしてきた。日本で初めて「リサイクルするための紙管」として開発した「グリーン紙管」や、紙粉の発生を防止する「クリーン紙管」、100%紙で作った「エコリール」など、代表的な商品は数多い。また商品だけでなく、環境の観点からの社員教育にも積極的に取り組んでおり、今回はそのあたりについてお話しを伺った。
環境にやさしい循環型商品~リサイクル可能な「グリーン紙管」~

 グリーン紙管開発のきっかけは、7~8年前に顧客から相談があったのが始まりだった。具体的には、メーカーからの要望で、水に溶けにくい紙管では欧米の顧客に受け入れられない、とのことであった。特に米国では、使用済みの紙管はリサイクルが義務化されており、強度等の性能重視で開発されてきた紙管の見直しを迫られた。
 紙管を水に溶けやすくするため、紙管の原料である「原紙」と「接着剤」の両方の見直しが必要となったが、特に接着剤に関しては、大きな変更が必要となった。接着剤の原料を植物由来のものにするなど試行錯誤の結果、従来と同等の品質を持ちながらも水に溶けやすい紙管の開発に成功し、現在も「グリーン紙管」として同社の代表的商品となっている。
 紙管ユーザーは、この100%リサイクル可能な「グリーン紙管」を使用することで、その先のユーザーへのアピールにもなり、従来の紙管と同等の品質を保ちながらも「エコ」になる商品ということで、企業のイメージアップにつながっている。

  • 左)リサイクルの仕組図
    右)グリーン紙管

紙管業界の先を見据えた取り組み~古紙回収サポートから同業他社への技術支援まで~
 グリーン紙管の普及を目指し、同社では「古紙回収サポート」を実施している。同社は、全国の主要エリアにグリーン紙管を回収するパートナー網を独自で構築し、エンドユーザーからグリーン紙管を回収した業者が、それを古紙として売却できるようサポートしている。
 また驚くべきは、同社が同業他社へのグリーン紙管製造技術の無償供与を行っている点だ。同社が考える「紙管の再資源化」に賛同する企業には、技術支援から生産性を落とさない取り組みまでサポートし、グリーン紙管の急速な普及を目指している。営業担当課長は、「社会全体の環境保全のためには、同業他社への技術支援を通してグリーン紙管を業界全体に広げていきたい。最終的には日本中の紙管がグリーン紙管に切り替わることが目標ですね。」と目を輝かせる。

古紙回収サポートフロー図

環境を意識した商品づくり〜「クリーン紙管」「エコリール」〜
 前述したグリーン紙管の他にも、環境を意識した同社の代表的商品はまだまだある。
製品巻き取り時にチャック部分との摩擦で発生する紙粉を抑制する「クリーン紙管」は、『紙だから粉が出る』という先入観を覆し、クリーンルームなどの厳しい環境の中でも優れた性能を発揮する。
 「エコリール」は100%紙で作られており、金具や樹脂を一切使用しないが、強度・耐久性ともに重量物に耐え得る構造となっている。この「エコリール」も顧客からの要望によって開発された商品であり、チェーンや電線、最近では光ケーブル等にも使用されている。また、ツバの両面や銅部に企業名等を印刷することが出来るので、企業PRやイメージアップにも役立っている。
 このように、同社は「環境」をキーワードとしたさまざまな商品づくりに積極的に取り組んでおり、変化する時代のニーズに確実に対応している。

クリーン紙管

エコリール

社内での環境活動の推進
 同社では、社内での環境意識の向上のための取り組みも積極的に行っている。「省資源・省エネ・製品の拡販」を会社の三本柱に設定し、各部門・各個人ごとに数値目標を持って取り組んでいる。環境理念カードは常に携帯しており、各々が自分の目標をいつでも言えるような意識付けも行っている。
 また、環境マネジメント推進のためTPM・ISO推進室を設置し、年2回の内部環境監査を実施している。この他同社では内部環境監査員の育成にも熱心である。なんと、全従業員110名のうち、44名が内部環境監査員としての資格を有しているという。このことからも、同社の環境への取り組みへの強いこだわりが感じられる。

社内での取り組み風景

EPILOGUE

 今回の取材を通じて、環境へのやさしさと品質の高さの両立を実現した同社の技術力とともに、同社の地球環境に対する熱い想いを感じた。
 環境保全のためには、同業他社への技術供与もいとわないという柔軟な姿勢が同社の強みであり、この将来を見据えた取り組みがあれば、同社の最終目標である「日本中のすべての紙管が、もう一度紙管原料として生まれ変わる」という日が実現するのも、そう遠くないのではないかと思う。

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