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八尾市ものづくりnet.の中の八尾を拠点に頑張るものづくり企業の中の錦城護謨株式会社

八尾を拠点に頑張るものづくり企業

取材日:2010年10月20日

錦城護謨株式会社
〒581-0068 大阪府八尾市跡部北の町1-4-25URLhttp://www.kinjogomu.jp
ゴム製品製造

防水ゴムのトップメーカー

 昭和11年に創業した錦城護謨株式会社は、「工業用ゴム・樹脂製品」の製造販売と「軟弱地盤改良工事設計施工・改良用材料(キャッスルボード)」製造販売業者として、取材時(平成22年)で創業74年目を迎える。
 創業以来、「素直さと謙虚さ 情熱と勇気」という4つの心を大切に持ち続ける当社は、自己資本比率75%、無借金経営という堅実な経営基盤を持ちながらも新しいニーズの発見と持ち前のチャレンジ精神で企業活動の幅を広げてきた。
 売上高の70%を占める工業用ゴム・樹脂製品部門では、炊飯器のパッキン、プリンターやコピー機の紙送り用ゴムローラー、ETC用車両判別センサー、自転車のブレーキシュー、スイミングゴーグル分野など、身近な家電製品や精密機器などに当社の製品は多く使われている。
 「他で無理なら自分たちでやってみよう!」という風通しの良い社風から生まれた“世界初でオンリーワン”の製品はトップシェアを誇るものも数多い。代表的なものとしては、お客様との共同開発で生まれたプリンター用の高摩擦係数を発揮する給紙ロールや水洗いできるシェーバーに使われている防水ゴムがあげられる。
 特に防水ゴムは世界初の商品として開発、その技術は女性用の脱毛機にも応用されている。中でもゴムと樹脂の複合技術から生まれた携帯電話用の防水ゴムは近年大変注目されており、業容拡大に大きく貢献している。

代表取締役社長 太田 泰造さん


大きな「夢」を詰め込んだD棟の竣工

 「当社の技術を支える上で無くてはならないもの、それは情報収集」。顧客との密な連携のもと様々な使用条件、使用目的を十分に把握した上で、素材特性を最大限に引き出し、活用できるかを検討している。また、成形に使用する設備や金型は一点ごとに自社で設計開発するなど、以前から工場に関わる設備投資を積極的に進めてきた。
 そして、平成21年10月には携帯電話に関わる液状シリコーンゴム工法に特化した生産工場として新工場(D棟)を建設した。このD棟は、今までもこれからも八尾市に根ざしたものづくり企業として、「八尾市から世界にメッセージを発信していきたい」という強い意味を込めて“Dream”の頭文字を取ってD棟と名付けた。この新工場に関して太田代表は、「D棟というネーミングには、苦しい経済状況の中で建設してでも八尾で今後も頑張り続けたいという、社内に向けたメッセージも含んでいます」と語る。
 建設にあたっては、“ものをつくりやすい工場をつくろう”を合言葉に、環境に配慮した騒音対策、安全安心に働く上で設備の適正な設置場所など、社屋が最大のセールスマンになるように徹底的にこだわった。JR久宝寺駅前の再開発と建設時期が同じだったこともあり、“まちづくり”に積極的に協力するという方針のもと、工場の外観のリニューアル、地元の夏祭りへの協賛、地元出身の従業員の雇用推進など、「企業市民」としての行動を全社的に取り組んでいる。
 また、「生産量の貢献だけでなく、ものづくりのまちである八尾市に新工場を設置したことは、お客さんとの距離も近く、将来に向けた従業員に対するメッセージにもなった。人材確保の観点から見ても非常にメリットがある」という。

新工場(D棟)

D棟ショールーム

 太田代表が「ミリ単位の精度が必要な工業用ゴム事業とスケールの大きい土木事業を支えているのは魅力的な人材です」と語るように、当社では社員教育に力を入れている。
 “人とのコミュニケーション”を大切にしている当社では、日々の挨拶の徹底や情報共有にはこだわりを持っている。また、全社的なISO9000、14001への取り組みや、“やりたいこと”を出来る限りサポート、勤続年数や男女を問わず資格取得を支援する環境を整備することで100を超える工場所有権を取得、ひとりひとりの力を伸ばし、高めあう当社の原動力となっている。


知育玩具『nocilis』

チャレンジ精神を持って新分野へ

 平成21年12月の社長交代を契機に、新組織を構築する為に「新規事業推進本部」を立ち上げた。「世の中にないものをつくる!」を合言葉に、新事業本部では現在、「防災」「環境」「福祉」「健康」という4つの分野にターゲットを絞り、これまでの工業用ゴムと土木事業以外の新たな柱を育てる為に活動を行っている。
 ゴム製の玩具『nocilis』や点字ブロックに代わる段差のない視覚障害者歩行誘導ソフトマット「歩導くん」は、これまでの当社独自技術を最大限に、創意工夫から生まれた新事業部考案の商品である。
 特に「nocilis」は世界初(特許取得済)の“ひっくりかえすとカタチがかわる”玩具であり、安全かつ知育教材として「キッズデザイン賞」を獲得、最近では各種メディア媒体で紹介されるなど非常に楽しみな商品となっている。
 最後に太田代表は「4つの分野に関わる様々な社会貢献スポンサードにも積極的に取り組んでいくことで、商品をただ提供するのではなく、市場の価値創造を図っていければ」と熱く想いを語る。
 常に先を見据えた「ものづくり」をベースに、様々な分野で挑戦する錦城護謨株式会社の今後に期待したい。

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