八尾市ものづくりnet.八尾を拠点に頑張るものづくり企業第一プラスチック株式会社
取材日:2010年10月25日
昭和43年にプラスチックの成形加工品の製造業者として創業された第一プラスチック株式会社は、成形のスペシャリスト集団として今年で42年目を迎える。
創業時から、“あらゆる素材をあらゆる形に”をスローガンに、軟質・硬質・発砲体・複合多層材料・など様々な熱成形品を提供。業界にとらわれない多種多様な成形品を世に送り出して業績を拡大してきた。
平成18年の新事業活動促進法に基づく経営革新計画承認をはじめ、ものづくり試作開発等支援事業認定、大阪府ものづくり優良企業賞受賞など、技術力は内外に評価されている。
「1600×2500ミリのものまで一体で成形できる大型成形機を最大限に活用した大型真空圧空成形には自信を持っています。また、全ての製造工程を内製化しており、一貫生産が出来る事も強みです」と代表の松田雄一郎氏が語るように、シートと型との空間を真空状態にして形状を作りだす真空成形と圧空成形の技術が今日までの当社を支えてきた。
一貫生産によって得られるメリットは大きい。生産効率のアップと品質の安定化が
図られたことで、建設機械、農機、住宅機器、自動販売機、自動車の内外装の他、福祉リハビリ、医療機器、半導体関連機器、アミューズメント機器、立体広告POPなどの業界にも拡がりを見せて新しい価値を創造している。
代表取締役社長 松田 雄一郎さん
真空成形、圧空成形で生かされた長年の実績と技術力をベースに、フィルムや板を成形するだけでなく、同時に様々な技術要素を組み合わせる”技術の複合化”にも取り組んでいる。具体的には加飾フィルムを射出成形型の内部にインサートする“フィルムインサート成形”やグラビア印刷などの高外観フィルムを加熱圧着する“3次元ラミネート成形”などがある。松田社長は「様々な分野に取引先を持つ当社にとって、技術要素を組み合わせ低コストに軽量・環境・高機能といった時代のニーズに対応できるモノづくりがこれからは益々重要になる」と語る。
例えば耐薬品性が求められる医療機器や耐衝撃性が求められるゲーム機などで、樹脂の表面だけを機能性のある樹脂フィルムで覆う事で革新性の高い製品作りを可能としている。
当時26歳という若さで社長に就任した松田社長は製造業ではまだあまり注目されていなかったホームページに着目。真空成形や圧空成形の解説など役立つ情報を掲載したこだわりのあるサイト作りを行ってきた。
この取組みが実を結び、日本で初めて行われた製造業のホームページコンテストで大賞を受賞、ホームページをきっかけとした技術営業は徐々に認知され、当社の売上にも大きく貢献している。
さらに、松田社長は「八尾市を中心に官公庁とのつながりを持てたことが大きかった」と語る。当社では、平成19年に大阪府の中小企業等投資促進補助金や八尾市のものづくり集積促進奨励金の交付を受けながら、八尾市内の生産設備を増設、クリーンな成形エリアの確保と全てのプロセスを内製化できる設備を強化した。また、各種補助金の活用により、高圧成形機を導入したことは、技術の高度化や工程短縮の面でも大いに貢献したようだ。
「もともと成形機・NCルーターは業界レベルの約1.5倍の面積・深さの加工能力を有してきましたが、高精度の成形が可能となったことで今までにない業界からの問い合わせも増えています」と自信を覗かせている。
「八尾市は高い技術力を持つ企業が多い事や物流面でも便利な地域だと思います。」と松田社長は八尾での操業メリットを指摘する。
松田社長は、「付加価値の高い成形品を提案しながら、常に危機感を持って新しい価値を創造し、将来的に成長できる分野に進出していきたいと考えている」と語る。素材メーカーからの問い合わせも多いようで、顧客との共同開発で既製品にとらわれない製品作りも行っている。
松田社長は最後に、「国内だけでなく、海外にも目を向けています。単に下請けとして海外に進出するのではなく、お客様から選ばれるモノづくりを行い海外を目指していきたい」と抱負を述べた。
業界トップのクオリティを目指し続ける、第一プラスチック株式会社の今後の挑戦に是非とも期待したい。