八尾市ものづくりnet.八尾のふるさと納税返礼品提供企業ラピス株式会社
ラピス株式会社は、歯科医院向けに強みを持つ地元歯ブラシメーカーである。
歯科医院に行った患者が治療で当社の歯ブラシを薦められるなどして人気に火が付き、今では個人向け販売が売上の30%を占めるまでに拡大している。
日本の歯科業界では「治療」と「矯正」が中心であったが、欧米では一般的であった「予防歯科」が日本でも必ず浸透する日が来ると信じて「ワンタフトブラシ(通常の歯ブラシでは磨ききれない部分を効果的に磨くための専用道具)」の開発に着手したのが平成18年頃である。
歯科医師と入念な打ち合わせを重ねることで素材と形状にこだわったものを開発する事が出来た。しかし1本400円では高くて売れず、生産コストの引き下げが必要不可欠である事を認識した。その後、約2年間の歳月をかけ、当社オリジナルの製造機械をメーカーと共同で開発し、半自動化に成功した結果、小売価格で1本200円以下に引き下げることに成功した。
「予防歯科」が浸透する時期に合致したことも追い風となり、当社の「ワンタフトブラシ」は歯科医師の間では事実上のスタンダードになった。近年は大手も参入し、200円前後の価格で追随するものの、当社と同じ価格で勝負できるメーカーは現れていない。
今でも生産効率の向上と歩留まり改善のため改良を重ねており、大手メーカーからのOEM生産も請け負っている。これまでにOEM発注の見返りに製造機械の公開を迫った大手メーカーもあったようだが、他社に模倣されることがないように非公開を続けている。
納税返礼品に選ばれたことで売上がアップしたといった効果はまだ実感できる段階ではないものの、八尾市の返礼品ということで歯ブラシを選択する消費者も多いとみられ、知名度向上に一役買っているようだ。
今後も歯ブラシの商品開発を続けていく一方で、これまでに培った技術力を応用してネイルアート用ブラシの開発に着手している。
筆に使われる柔毛は動物の毛を使うのが一般的であるが、法律等で取引の規制が強化される昨今の情勢を考慮し、化学繊維を使っての取り組みを進めている。ネイリスト監修のもと、静電気を抑えるだけでなく、毛に見立てる着色なども品質は動物の毛とほとんど遜色ない水準にまで向上している。
ネイルアートを施す人のうち、約80%はネイルサロンを利用しているが、残りの約20%は個人で行っていることから、グリップにもこだわるプロ用と一般用に分けて展開する意向である。