八尾市ものづくりnet.八尾のふるさと納税返礼品提供企業株式会社ウエダ美粧堂
八尾市には地場産業の一つに「ブラシ生産」があり、歯ブラシ、刷毛などのメーカーが多く存在するなかで、株式会社ウエダ美粧堂は化粧筆用原毛の加工業者として1945年に創業した。「日本で唯一の原毛加工輸入会社」として、日本伝統の技×西洋で培われた技の融合により、当社にしか作れない原毛をお客様に提供し続けている。
有名な化粧筆ブランド「熊野筆」にも当社が精毛した毛を使って製品化しているメーカーも多数あり、当社の技術力が認められている。また、原毛の加工だけではなく、その蓄積されたノウハウを生かし、大手化粧品メーカーからの依頼による化粧筆のOEM生産や自社ブランドの化粧筆生産も手掛けている。
当社の筆づくりの特徴は、優れた原毛を見極める「目利きの技」、原毛本来の美しさを導き出す「精毛の技」、究極の肌触りを実現する「穂先をつくる技」を有していることである。
優れた筆づくりのためには、数ある原毛の中で優れた原毛を見極め、調達することが最も重要であるという。社長自ら中国へ出張し、自ら目利きした羊毛、山羊、馬毛、リス、イタチなどの原毛を仕入れている。
仕入れた原毛の汚れ、塩分、油分を取り除き、原毛本来の美しさを取り戻す工程が精毛である。原毛本来の美しさを引き出す精毛の工程には半年から1年間かかるが、原毛の油分の抜き方、油分を残す塩梅、薬剤の使用量、乾燥させる温度など精毛の条件を長年試行錯誤してきた。その努力の結果、日本伝統の精毛の技、ヨーロッパの精毛の技、双方を研究改良することで、原毛を痛めることなく本来の美しさを導き出す精毛方法を確立した。
精毛した原毛を職人がクシ入れ、コマ入れ、糸くくり、不良毛の取り除きなどの作業を1つ1つ手作業で行い、穂先をつくっていく。この技術力が得意先から評価され、大手化粧品メーカーから化粧筆のOEM生産を任されていることも信頼の証であろう。
当社の化粧筆の製造事業は、大手化粧品メーカーからのOEM生産が中心であったが、OEM生産の場合だと得意先の予算内に収めるために、品質面で妥協しなければならない点が出てくる。そのため、社長の植田氏は「採算度外視で、最高の材料を用いて手間ひまを存分にかけて、最高の化粧筆を作りたい」という強い想いを持っていた。忙しい合間を縫って、研究開発を重ね、2014年に自社ブランドの「BISYODO」が完成し、2016年頃から本格的に販売を開始した。
「BISYODO」には、山羊毛細光峰という最高級の原毛を使用。長年のノウハウを活用した精毛工程を経て行う穂先づくりにもこだわった。毛自体の繊細さを活かすべく、毛先のカットは一切行わず、曲がった毛や飛び出た毛を1本ずつ手作業で取り除く。ブラシの柄となる木軸にもこだわり、硬度と耐久性と重みがあるアフリカンローズウッドを使用。24金メッキの真鍮口金を合わせ、高級感と重厚さが漂い、使用性にも優れた極上化粧筆を実現させた。パウダー、ハイライト、チーク、アイシャドー、リップなど28種類のラインナップを備えている。百貨店等での催事販売も継続的に行っており、「BISYODO」を試した顧客はその仕上がりを実感し、購買率が高いそうだ。2017年には「BISYODO」のファンデーションブラシが、大阪府が府内ものづくり中小企業等の優れた製品を認定する大阪製ブランドに認定され、対外的にも認知度や信用度が向上している。
最高級の「BISYODO」の他にもテーマに沿った化粧筆のラインナップを展開しているが、どれも素材や肌当りにこだわっているため、使った人からは「ムラなく、簡単に、メイクが綺麗に仕上がる」と高評価をいただいている。当社の精毛技術により、筆1本の毛量が多く出来るため、ブラシの毛束の中に粉体をしっかり含ませることができ、ひとはけするごとに程良く粉体が吐き出されてくる。この仕組みから、ふんわりと自然なメイクの仕上がりを実現できている。既存の販売店舗からの紹介などにより、取扱店舗数が増加しており、現在では100店舗以上で当社の製品が販売されている。
化粧品専門店への営業開拓時や催事販売の際に、ふるさと納税の返礼品に選ばれたことで、当社の信用度が増しており、販売促進につながっている。
当社の看板商品でもある「BISYODO」は、長年原毛の加工に従事するなかで、原毛の見極め、精毛、穂先づくりの各工程で試行錯誤を行い、ノウハウを積み重ねで実現した製品であり、社長の植田氏は現在の「BISYODO」が完成形だと思っていない。今後も試行錯誤を続けていくことで、最高の化粧筆を追及していく。また、化粧品専門店のスタッフから一般消費者の声を聞き、製品の改良および新製品の開発にも取り組んでいる。当社の化粧筆は手入れをまめに行えば長年にわたって使うことが可能であるため、手入れ用洗剤の開発・販売にも積極的に力を入れている。今後は、国内だけではなく、海外での展示会にも積極的に出展し、当社の魅力、日本のものづくりの魅力を訴求していく。