八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業日本クエーカー・ケミカル株式会社
ビールや炭酸飲料などが入っているアルミ缶。これを製缶業界では「DI(Drawing and Ironing)缶」と呼んでいる。「Drawing」とは、いわゆる「絞り」加工のことで、平らな状態のアルミ材料が、カップ状に成形される。「Ironing」とは、「しごき」加工のことで、絞り加工によって浅いカップ状にされたものが、深いカップ状へと引き伸ばされる。
この2つの工程において欠かせないのが、同社が誇る金属加工油剤であり、その果たす役割は非常に大きい。
DI缶製造工程(前述の絞り及びしごき)における油剤の役割は、加工の際に発生する機械間の摩擦軽減や擦りきず発生の防止などの、「潤滑性」である。
近年では、加工スピードの高速化への対応や、飲料業界特有の洗浄後に油が残らないこと、臭いが付着しないことなど、より高い品質が求められている。また、ビール缶などに見られるように、現在は缶のラベルも各社さまざまであり、ラベル印刷の際に表面に黒筋などが浮き出ないように、適切な油剤を「適量かつ均一」に塗油することが、非常に重要となる。
同社は、日本国内で初めてDI缶用油剤の開発に着手し、米クエーカー社の技術を土台に、日本のニーズに合った油剤の開発を進めてきた。油剤の技術は、もともとアメリカで発祥し、石油会社が始めたとされているが、先にも述べたとおり、時代の流れとともに求められる品質が高まってきた。特に日本では、飲料缶などに求められる品質は海外より高く、顧客である製缶メーカーとの二人三脚による地道な研究が今の技術力を支えている。
こうして、同社の製缶油剤は、国内で生産される年間180億缶のうち、約8割で使用されており、その確かな技術力は製缶工程を影で支えている。
同社では、低濃度・少量でも潤滑油としての役割を十分に果たす、環境に配慮した製品開発も進めている。今や世界中で使用される主要な包装容器の一つとなったアルミ飲料缶は、これからもさらなる生産性の向上が求められていく。
新しいロゴにも表現されているように、『中身を大事にしよう』(It’s what’s inside that counts)をモットーに、同社は今後も時代のニーズに合った製品開発に取り組んでいく。