八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業細田工業株式会社
今日、百貨店やスーパーマーケット、ファーストフード店やファミリーレストランなど様々な小売店・飲食店等で、安全かつ美味しい食品を手軽に口にすることができる。これらの店舗で提供される食品は、多くの消費者に届けるため、専用の工場で大量に加工された後に店舗等に出荷されている。
食品加工工場で野菜を調理(加工)する際、台所での調理と同様、「洗浄」、「脱水」、「異物除去」といった作業が必要となるが、これらに「殺菌」、「冷却」なども含んだ一連の工程を行う装置が細田工業株式会社の製造する「野菜洗浄機」だ。野菜の種類や必要な工程、求める鮮度など、顧客の要望に応じてオーダーメイドで製造。同社の野菜洗浄機は国内トップシェアを誇る。
野菜は「生きた素材」であり、その扱いには金属加工などとは異なる難しさがある。ただ外形を整えればいいというものではなく、鮮度を保持し、且つ美味しさもそのままにすることが求められる。
鮮度の保持には様々な課題があり、例えばカット野菜のカット面は菌が増殖しやすく腐敗しやすい。従来からの対応策として、殺菌剤による除菌という手法があるが、除菌と同時に細胞組織を壊しやすく、カット部分の変色が進んでしまうという欠点がある。
これに対し、細田工業株式会社は、長年、水の流れ方の強弱を探求し、温度・濃度・PHなど水質がもたらす変化を熟知。これら「水」に関するノウハウを活かし、微量の殺菌剤で菌の増殖を激減させ、素材の特性を最大限に活かす洗浄方法を実現している。
また、この洗浄方法の実現には、装置そのものに加え、素材に応じて装置を制御・操作するソフトが重要となってくる。
同社は業界内で唯一、ハード・ソフトの双方を自社内で行うことができる体制を保有し、ハード・ソフトの双方のバランスを取りながら、顧客にとって最適な装置の開発を可能にした。これが大きな強みとなっている。
また、消費者が直接口に入れるデリケートな素材を扱うことから、清掃が容易にできるよう、「Simple is the Best」をモットーに極限までシンプルな設計を心がけるとともに、メンテナンスにも力を入れている。
これら水に関するノウハウの蓄積、ハード・ソフトの開発力、及びメンテナンス体制のトータルで、同社の野菜洗浄機は関連する業界にとって欠かせない存在となっており、現在のトップシェアにつながっている。
最近ではもやし洗浄ラインを新たに開発。洗浄から殻取り、根切り、異物除去までの全工程を自動搬送化し、国内外でのシェアの拡大を進めている。もやしは世界中で食べられている食材であり、今後の同社の事業展開における柱の一つとして期待されている。
同社の野菜洗浄機を消費者が直接見る機会は殆どないが、「乳児を除く、あらゆる世代の人々が弊社の野菜洗浄機で洗浄した野菜を口にしている」と経営者の細田社長は語る。
野菜は生き物であり土から収穫した後も生きている。この生きた素材を安全・安心かつ美味しさをそのままに消費者に届けるため、「食品素材の持っている生命力を活かす装置」の開発を今後も進めていく。