八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業株式会社西村機械製作所
穀物などの製粉に使用する粉砕機、ふるい分け機、混合機、供給機、空気輸送、コンベアなど、粉粒体機器のトータルエンジニアリングを行っている株式会社西村機械製作所は、その高い技術力をもって平成22年「フード・アクション・ニッポン アワード 2010」において、研究開発新技術部門で優秀賞(「湿式製粉技術と普及拡大のための玄米製粉」)を受賞している。
同社は、米粉製粉技術の改善に努め、「製粉時にデンプン損傷を少なく、パンや麺などの目的に合わせた最適な製粉粒度の製粉技術」の研究開発に注力し、米の品質を重視した最適な製粉技術を「湿式製粉技術」として確立している。また、その技術の普及活動と、実際に製粉設備を導入検討するユーザーに対して、技術的な支援も行っている。
これら同社の技術が集約された米粉気流粉砕機は、国内シェアで60%を占めている。
米粉パン誕生の源流は、10数年前にさかのぼる。当時、関西圏で周りに米粉を扱うメーカーがなかったため、大阪農政事務所と同社を含む近畿の5つの事業者が、毎週土日に集まって色々な米粉でパン作りに挑戦し、研究を重ねたことが発端である。試行錯誤を続けた結果、同社の米粉気流粉砕機「スーパーパウダーミル」が完成した。
「スーパーパウダーミル」は、空気の高速気流による圧力変動で原料を高周波振動させ、原料同士がぶつかって自己粉砕するもので、微細粒ででんぷん損傷の少ない上質な米粉となり、パンや麺、ケーキなどに用いられる。
上記開発過程では、会社の利益に直結しない事業である上、なかなか結果がでなかったが、決してあきらめることなくナンバーワン・オンリーワンを目指した。このパイオニア精神こそが会社の貴重な財産となっている。
米粉の製粉方法は様々な方式があり、加工する米粉食品の種類や特徴にあわせた方式を選択する必要がある。方式には、「乾式製粉」、「湿式製粉・後乾燥方式」、「湿式製粉・前乾燥方式」、「水挽き製粉」、「吸水工程におけるバッチ式と連続式」があり、それに見合う粉砕機がそれぞれある。その中の「湿式製粉・後乾燥方式」は、より品質の高い米粉を得るための製粉方法で、それに見合う気流粉砕機は、株式会社西村機械製作所の「スーパーパウダーミル」のみである。「スーパーパウダーミル」は、主に大型製粉工場でのシェアが高く、また、同社は、機器・設備の販売だけでなく、資材調達から設計・施工、メンテナンスまで総合的なエンジニアリングを実施している点においてその優位性を誇る。
しかし、米粉は外国産麦価に左右されやすく、新たな需要開発が求められている。そのため、同社では米粉パン教室や展示会出展などの活動を通じて、米粉の更なる裾野拡大を目指している。加えて、玄米設備の開発、小ロット対応可能な小型製粉機の開発などにも取り組んでいきたいとしている。
同社は、平成26年3月4日から7日にかけて幕張メッセで開催された「第39回国際食品・飲料展 FOODEX JAPAN 2014」の“米粉パビリオン”に出展。今回のテーマは、「継続性の高い米粉・こだわりの製粉方法、自家製粉から製パン、製麺の活用」で、それに伴う小型気流製粉機の展示を行い、品質の高い玄米粉を使ったパンの展示と試食も行った。
現在、米粉食品の認知度は高まってきたが、米粉の製粉方法により加工できる食品の特徴が活かせず、最良米粉が充分に普及しているとは言い難い。しかし、米粉製粉方法を知ることで、より新しい米粉食品や、それに関する新しいビジネスチャンスが生まれると確信している。