八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業有限会社大和製作所
商業ビルや店舗で見かけるガラス扉。普段気にせず通過してしまうが、ガラス扉には必ずガラスでは作れない部分がある。それは、扉の取手や蝶番、吊り金具など、一枚のガラスを支え、扉へと変える金物部品である。コーナーフレームやセンターロック、ドアハンドルなど、ガラス扉により使われる部品は様々であるが、それら金物部品について国内では圧倒的No.1のシェアを誇る企業こそ、有限会社大和製作所である。
同社の創業は昭和25年と古い。当初は真鍮鋳物製が大半であったが、ステンレス材が普及してきた事によりガラス扉に必要な部品を専門に製造する企業へと成長。現在では国内でもトップクラスの硝子メーカー3社の製品を製造するに至っている。
コーナーフレームやセンターロック、ドアハンドルなど、ガラス扉により使われる部品は様々であり、大きさや形状などを含めれば種類は無限大である。自動扉が普及した昨今ではロット数が少ないため、機械での大量生産は難しく、職人の手作業に依るところが大きい。
特に、現在の扉金具は多くがステンレス材であるため、熟練の技師でなければ溶接時にひずみが生じやすい。また、ガラス扉を支える用途上、安全かつ頑丈なものでなければならない上、デザインや見た目も美しくなければならないが、当社の職人技術は卓越し、長年の技術製法を受け継いで見事な扉金具を製造している。各種部品がグランフロント大阪、羽田空港、東京スカイツリーなど、国内主要建築物のガラス扉に使用されていることが、当社製品が高品質である何よりの証明と言えよう。
何故日本でNo.1なのか。
「国内ではニッチ産業となり、作り手が減ったからでしょう」。東西田社長の答えは謙虚だ。しかし、その裏にはオーダーメイドで顧客の要望に応え続け、信頼を得てきた努力の軌跡が窺える。
現在、扉金具を世界に広めるべくタイに拠点を置き、海外展開を図っている。タイに拠点を置いたのは、経済成長著しい東南アジアでは、オフィスビルや商業施設の建設が年々増加しており、硝子扉の使用も多いからである。加えて、いまだ電力供給が不安定な国が多いことから、将来的にも自動扉の普及が遅い可能性があるという判断であった。さらに、東西田社長は「メイドインジャパン」に対するタイ人の思い入れに着目する。日本企業が多く進出する東南アジアでは日本製品に対する信頼が厚い。安心、安全、高品質である同社の扉金具は、まさにそのイメージどおりであった。
そのため、通常のビルや商業施設だけではなく、リゾートホテルやコンドミニアムなど、比較的高い費用をかけてでも品質を得たいとする先へ営業を重ねた。中国製の扉金具が1~2年で壊れる可能性があるのに対し、同社製は10~20年の強度がある。その上、品質保証やアフターフォローなどをタイの事務所で対応するため、売り逃げではないことに安心感も広がり、徐々にだが注目を集めるようになってきたという。
本格的な営業活動を始めて1年の2014年1月、タイから始めての受注が入った。まだ100個の小口受注である。しかし、東西田社長の顔は明るい。「海外市場の大きさを見れば、まだやれることが沢山あります。」
八尾から世界へ。大和製作所の挑戦は、まだ始まったばかりだ。