八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業横綱化成株式会社
より飛距離を伸ばすため、より安定性を高めるため、ゴルフクラブは常に進化を続けてきた。ヘッドは木製から始まり、メタル製を経てチタン製に、シャフトは木製からカーボン製に。しかしながらそうした技術の進歩に伴う変化のなかで、グリップは人との唯一の接点という重要な位置付けにあり、弾道のブレに大きな影響を及ぼすパーツでもありながら、軽視されてきた。
横綱化成株式会社はそのグリップに着目、材質のみならず色にまでこだわったグリップ「IOMIC」を開発し、性能の良さに加えてカラフルな外観もあって、ゴルファーの間で大きな話題を呼んでいる。
従来、同社は農業機械や建設機械で使用されるグリップの製造を主業としてきたが、安価な海外製品の流入などから、業績維持・拡大に向けて独自製品の開発が必要不可欠となった。ゴルフクラブのグリップを手掛けたきっかけは、社長の趣味でもあるゴルフを通じた知り合いから、プロゴルファー向けのグリップの製作依頼を受けたことだった。
従来のグリップはゴム製が主流で、強度を上げるために元々は白いゴムに炭素を混ぜることから、グリップの色はどうしても黒になる。そこで同社は得意とする軟質材の加工技術を活かしてゴルフクラブ向けグリップの開発に着手した。大手化学メーカーを巻き込んで原材料の開発から取り組み、特殊なエラストマーを使用したカラーグリップを完成させた。こうして国内外のプロゴルファーから大きな支持を得る「IOMIC」が世に送り出されることとなった。
ゴルフグリップの20%~25%、特にカラーグリップでは90%のシェアを誇るまでに成長した「IOMIC」。その後も自社開発のグリップトルク測定器を利用するほか、スイングロボット、超高速度カメラなどによりデータを収集している。それらを基にして、耐久性はもとより、ソフトな握り心地としっかりとした質感、インパクト時におけるトルク(ねじれ)の軽減など、様々な点について改良を重ねており、その回数は今や十数回に上っている。すべてはゴルファーの安定した弾道を実現するために。
本社工場ではユーザーからの小ロット受注(10本以上)にも対応できる体制を構築しており、グリップ本体12色、グリップエンド14色とカラーバリエーションも豊富だ。グリップの性能のみならずゴルファーの好みにもこだわった「IOMIC」、海外プロ選手の中でも高い使用率を誇り、「IOMIC」を使用した選手がツアー優勝を飾るなど、知名度は日々向上している。今後は、「さらにブランド力を高め、世界で勝負したい」とする代表の意向の下、「IOMIC」の更なる進化が期待される。