八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業岸上バルブ株式会社
バルブとは、気体や液体が流れる方向、圧力、流量を制御する「しくみ」をもつ機器の総称である。普段バルブを目にすることは少ないが、給排水衛生設備、水道施設、発電所、石油プラント、産業用ガス施設、製紙工場、食品工場、船舶など様々な用途で利用されている。ドラマ「下町ロケット」でロケット用バルブシステムの精度が注目されたように、気体や液体の流れを調整する装置として高い精度が求められる。特に、船舶用バルブは船舶の安全性を左右するため、より高い品質が求められる。その船舶用青銅バルブでトップシェアを長年守り続けているのが岸上バルブ株式会社である。同社は創業以来約90年の業歴を誇る舶用バルブ総合メーカーとして、造船に使用する各種バルブをすべて製作・販売し、船舶用青銅バルブで65%のシェアを誇っており、舶用以外にも原子力、水力、火力発電所や、保安庁、防衛省用のバルブ等を製造販売している。
同社では戦後から船舶用青銅バルブの製造に着手し、大手造船メーカーを中心に営業を行った。品質基準の厳しい大手造船メーカーの要求に応えるために、鋳型の設計・製造から鋳造、機械加工・検査までを一貫して対応する体制を構築。研究・実験を繰り返し、品質の安定化に努め、昭和42年には日本工業規格工場に認定された。昭和49年には船舶用青銅バルブの専用工場として岡山工場を新設し、大量生産を行う体制を構築。高品質かつ大量生産を可能とする生産体制が評価され、大手造船メーカー・重工業メーカーの認定工場となり、同業他社との受注競争に打ち勝ち、約50年間船舶用青銅バルブでトップシェアを守り続けている。同社の高品質バルブは日本だけではなく、イギリス・ドイツ・フランス・アメリカなど海外の船舶協会にも認められており、各国の船舶に採用されている。
同社のバルブは単品管理されており、最新の検査機器により、素材・形状・水圧検査を実施するなど個々の検品はもちろんのこと、製造工程のトレーサビリティが記録され、不良品の発生を未然に防ぐ体制が構築されている。長年船舶用青銅バルブでトップシェアを守ってきた品質管理体制が評価され、同社のバルブはプラント、防衛関連、火力・原子力発電所にも用いられている。特に原子力発電所においては、冷却水として海水を汲み上げる工程に同社のバルブが採用されており、原子力発電所の稼働に必要不可欠なものとなっている。
平成28年7月には本社近隣に老原工場を新設することで、岡山工場と併せて3工場での生産体制をとり、船舶用バルブにとどまらず、舶用バルブの総合メーカー、かつ原子力、水力、火力発電所向けの専門メーカーとして、高品質製品の供給を続けていく。また、90年の経験を生かし、国内や欧米だけではなく今後の成長が期待できる中国、インド、東南アジアにも販路を拡大し、グローバル展開を続けていく。