八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業株式会社中田製作所
半導体業界でシリコンウエハーの熱処理装置には反射基盤(アルミ)が用いられているが、この反射基盤を制作する上で、最も重要なのが鏡面加工である。
アルミ素材の部品の表面を、まるで鏡のように仕上げる鏡面加工。通常は切削加工により部品を成形した後、表面を研磨して仕上げる必要があるが、株式会社中田製作所の鏡面切削加工技術は、研磨なし・切削加工のみで鏡面(面粗度はRa0.02〜0.04)に仕上げることを可能とした。
同社が開発を始めた当時、アルミ素材の鏡面仕上げというと、研磨剤による研磨加工がどの業界でも常識であったが、ユーザーからは、研磨加工では微量の研磨剤が鏡面部分に付着してしまうことや、表面が若干曇るといった課題が指摘されていた。
これらに対応するため、業界において、切削加工による鏡面処理の取り組みが始まった。「自社の高い技術力を活かせば、切削加工のみで、曇りのないより美しい鏡面仕上げが可能になる。ウチの技術力は他社に絶対負けない。」その思いからチームを立ち上げ、開発に取り組んだ。
切削のための特殊な刃と切削油の開発など試行錯誤を重ね、特に切削用の刃物を何本もダメにするなど開発は困難を極めたが、ここで自社の技術力の高さを示そうとチーム一丸となり、美しい鏡面切削加工技術の開発に成功した。
通常の切削加工だけでは、鏡面にまで仕上げることは不可能である。高い技術力と今日までの研究の積み重ねが、同社の鏡面切削加工技術を可能にした。
鏡面切削加工技術のメリットとしては、研磨加工を必要としないため、①納期を短縮できること、②不純物が製品(鏡面部分)に付着しないこと、③研磨加工を施す場合と比較して単価を安くできること、④研磨材による素材表面の極小の凹みにより、表面が白っぽく濁ってしまうことがなく、クリアな仕上がりになることが挙げられる。
同社が可能にした幅300mmまで切削痕のつなぎ目の無い加工技術はどこも実現しておらず、これは世界のオンリーワン技術である。
この技術は近畿経済産業局が平成24年度に創設した「関西ものづくり新撰2013」に選定されている。
同社は鏡面切削加工技術の開発に成功した後も、自社の技術力の向上に取り組み、更なる研究開発を進めた結果、平面だけではなく曲面の鏡面切削加工も可能とした。
今後は曲面についての切削について技術を高め、製品のレベルをさらに上げていくことを目指している。