八尾市ものづくりnet.八尾のトップシェア/オンリーワン企業錦城護謨株式会社
工業用ゴム部品のメーカーとして全国的にも知名度の高い錦城護謨株式会社。多数のオンリーワン、トップシェアの製品群を有するゴム関連事業に加え、2本目の柱として土木関連事業にも注力している。自社開発の工事用材料「キャッスルボード」を用いた軟弱地盤の改良工事は、全国各地で多数の実績を誇っている。
同社が扱う「キャッスルボードドレーン工法」は、「プラスチックドレーン工法」と呼ばれる地盤改良技術の一種である。樹脂製の材料を打ち込んだ地盤に圧力をかけることで地中の水を排出させ、圧密沈下を促進し地盤の強度を上げるという同工法は、他の工法で必要な天然資源(砂・砂利等)の採取を大幅に削減でき、環境に優しい。加えて、環境への影響が少ない原材料を用いた材料の開発・材料の打ち込みに用いる「打設機」の環境負荷を考慮した設計等、独自の技術が随所に生かされた「キャッスルボードドレーン工法」での施工は、全国での「プラスチックボードドレーン工法」による工事のうち約70%と高いシェアを占める。羽田空港や関西国際空港・神戸空港等の国家プロジェクトともいえる大工事をはじめ、第二京阪門真ジャンクション、北港、南港等多くの場所で同社の技術が採用されている。
ゴム製品で創業・設立した同社が土木関連事業に着手したのは営業基盤を確立した昭和40年代。きっかけは大阪のゼネコンからの「地盤改良の材料を作ってみないか」という一言だった。以後、材料メーカーとして「キャッスルボード」の製造に取り組み、土木関連事業をスタートさせることとなる。
失敗もかさみ、「儲からないからやめよう」という声が上がる中、会社を動かしたのは「新たなものづくり」を訴える社員の熱い想いだった。一致団結して品質改良に励み、事業は徐々に軌道に乗り始める。昭和50年代には、「現場を知らなければ良いものづくりは出来ない」との考えの下、材料の製造のみならず施工も手がけるようになった。
大半が自社施工となっている現在、材料の開発から設計施工・経過観測まで一貫して行う体制は、顧客の大手ゼネコンからの厚い信頼を得ている。
「1年に1つ、オンリーワンを作ろう」がモットーである同社が注目したのが点字ブロックである。従来の誘導ブロック(点字ブロック)の「歩きにくさ・つまずきやすさ」を改良し、視覚障がい者だけでなく、お年寄りの歩行やベビーカー、車椅子の走行など、誰もが安心して歩ける誘導路「歩導くん」を開発し、本当の意味でのバリアフリーを目指し、安心・安全にこだわった製品を提供している。
「歩導くん」の特長は、凹凸の替わりに、白杖でたたく時の音や感触の違い、足から伝わるソフトな感触が誘導路を教えてくれる点で、その他にも床との段差を少なくすることによりつまずきにくく、また水に濡れても滑りにくい点が挙げられる。また簡単に施工できるため、価格的にも工期的にも優れており、災害時には暗闇の中でも発光する素材を使用することで避難道にもなるという優れものである。
「歩導くん」は、既に八尾市立病院をはじめ、多数の公共機関や病院、社会福祉施設、大学、金融機関、イベント会場に採用されており、今後は東京オリンピック・パラリンピックの各会場での採用や世界市場への進出を目指している。